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メッセージ

後半2年間の特定領域研究に向けて

領域代表 入江正浩
立教大理学部・教授

 本特定領域研究「フォトクロミズム」の目的は、格段に優れた性能をもつフォトクロミック分子を新たに開発し、そのことによりフォトクロミズムの極限性能を攻究するとともに、有機分子固有の多様な物性を反映した特異な機能をもったフォトクロミック分子材料を創製することにある。光照射により動くフォトメカニカル機能はその一つの例である。このことにより、有機分子材料のもつ新たな可能性を開墾することをめざしている。

 平成19年度に本特定領域は採択され研究を開始し、すでに2年が経過した。この2年間に、班員の熱心な研究により優れた成果が得られている。阿部二朗計画班員は、高速着色/退色応答性をもつヘキサアリールイミダゾール誘導体を新たに開発した。高速に着色/退色することを動画で示し、これまでにない高い機能が注目され、Science, C & E Newsをはじめ国内外の多くのメデイアに取り上げられている。また、池田富樹計画班員は、光により回転運動を誘起する高分子ベルト材料の開発に成功し、これも朝日新聞などの一般紙にも大きく取り上げられ注目をあびている。これら2つの成果は、文部科学省の科研費ニュース(2008年、Vol. 3)にも掲載され、理工系の4つのユニークな研究成果の内の2つが本特定領域研究の成果となっている。さらに、公募研究でも多くの研究者から優れた成果が報告されてきている。

 後半2年間の特定領域研究をすすめるにあたり、次のことをお願いしたい。計画班員は、すでに1年半以上本プロジェクトに参加し、研究を継続してきている。本プロジェクト開始前からの研究をさらに2年間続けるのではなく、本プロジェクトによりはじめて達成されたと言える格段の成果を望みたい。本プロジェクト研究から、新しい分子、材料、新しい概念を提案することが求められている。このことを、肝に銘じて研究をすすめていただきたい。公募班員の多くは、昨年から本プロジェクトに参加していただいている。今年度から加わっていただいた公募班員の方々ともども、新しい発想にもとづく新鮮な研究構想を、プロジェクト期間中に実現すべく努力されることをお願いしたい。

 2010年10月に、次回の「有機フォトクロミズム国際シンポジウム(ISOP10)」が、横山泰教授を組織委員長として横浜で開催されることが決まっている。本特定領域研究から生み出される画期的成果を、世界へ発信する絶好の機会である。是非とも、日本の研究のレベルの高さを示す研究成果の発表を準備していただきたい。フォトクロミズム研究の世界に新しいフロンテイアを築くべく、計画班員、公募班員の一層の努力を望みます。